副業のトレンド
副業のトレンド
皆さんは、「副業」と言われてどのようなイメージを持ちますか。これまでの日本では、最近よく耳にする『働き方改革』などの肯定的なイメージよりも、『就業規則違反』『本業をおろそかにしている』などマイナスイメージを持つ方が多かったと思います。それは、日本の社会全体で否定的だったからです。
しかし、この数年で日本における副業に対する考え方は大きく変化しています。
2018年1月、厚生労働省は就業規則の中で“副業は原則禁止すべき”としていた考えを“原則容認”と改めました。
そのよう流れを皮切りに、2018年は「副業解禁元年」と言われるほど一般企業の中でも広がりをみせました。
その中心となったのは、働き方に対する世の中の流れや考え方に高いアンテナを立てていた大手企業や柔軟性を一つの武器にしているベンチャー企業です。では、なぜ副業解禁の流れになったのか、またどのような副業があり、そのメリットデメリットは何なのかひも解いてみたいと思います。
副業解禁の背景
最も大きな要因は、少子高齢化社会が今後より一層加速していく現実です。
各企業の取り組みに留まらず、厚生労働省が重い腰を上げたのは、日本が今以上に働き手がいなくなっていくことへの危機感と今以上に増加していく高齢者を支えるだけの体力がないことです。
「働き手の確保」と「体力を養うための財政(税収入)強化」を一石二鳥で補える方法、これが『副業解禁』なのです。副業で収入が増えればより多額の税金を納めることになります。
また若手が増えない代わりに、優秀なシニア層が副業として活躍の場を広げることで人材に悩まされている多くの企業が救われます。
日本企業全体でみれば、まだまだ広がり始めたばかりの副業容認の流れですが、日本の抱える少子高齢化の課題が根本に隠れているだけに、今後更なる加速が予想されます。
どのような副業があるか
2000年以前は副業と言えば、内職やアルバイトが大半でした。2000年以降、ネットオークションや転売ビジネス、デイトレーダーなどが徐々に増加していきました。ここ3年ではさらに進化が進み、
・クラウドソーシング
・シェアビジネス
・スマホアプリ
・FX
・株式投資
など様々です。
このようなビジネスに着目しているのは、決して一般企業の社員だけではありません。FXや株式投資は主婦や学生にも人気の副業となっていますし、また副業と言われると難しく考えがちですが、今ではスマホで撮影した何気ない日常の写真を投稿してお金を稼ぐという方法や家事代行サービスなど非常に手軽で簡単にできるものや単純で分かりやすい副業も増えています。( → PIXTA、CaSy)
現時点では、副業で高収入を得るというより、+αの収入源または趣味の延長線上が気付いたら副業になっていたというパターンの方が多いようです。
またシニアマーケットで人気がある副業では、
・治験モニター
・家事・育児代行
・アンケートサイト
・講師(着付け、編み物、パソコン、料理、英語)
など、手軽に携われるものが多いようです。
副業を行う上での留意点とは
お互いに自由度が高く、個人のキャリアを深める意味でも企業が優秀な人材を確保する意味でもメリットの多い副業ですが、現時点では注意しなければならない点も少なくありません。
最も注意しなければならないのは、情報漏洩です。
個人情報やその企業が独自で開発した機密情報などに関わる重要な業務を行う社員が副業する場合、または逆のパターンにおいては注意が必要です。
人材大手のリクルートホールディングスは、以前より副業賛成派として在籍中に別会社を設立することまでも容認している数少ない企業ですが、「事前に申請を行うこと」以外に「会社本業に競合しないこと」を規定としています。
大手IT企業のサイボウズでも2012年といち早く副業容認となりましたが、2017年には副業採用制度を導入しています。どのような採用規定になっているか詳細は不明ですが、どちらの場合でも情報管理に最新の注意を払わなければならないことは明確です。
また労務管理、時間管理、評価制度など副業で雇われた場合の確認事項は少なくありません。副業解禁の流れが一層広がり、全体の半数を超えて規定整備を統一する動きになるまでは、各個人、各企業で気にしていただくほかないのが実情です。
まとめ
終身雇用制度が崩壊した現在の日本において、新卒1社経験で定年を迎えるのが当たり前という時代から、「転職」が当たり前になり、職業選択の自由度が増してきたように、近年における副業とは決して他人事にはできないキーワードなのだと思います。
現代の世の中でさえ、誰しもが将来安泰とは言えない不安を抱えています。ここからさらに数十年後の未来を描けと言われれば、当然楽しいことばかりではなさそうです。
だからこそ、物事を柔軟に捉え、新しい発想が生み出せるうちに、副業という現代のトレンドを用いて第二の人生に向けたウォーミングアップをするべきではないかでしょうか。
一人ひとりが老後の人生を豊かにできるよう、本業と副業を充実させることで自分の人生を支える手がかりが見つかるのではないかと思います。
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